緊急事態宣言から1ヶ月−自粛の効果は出ているのか!?

皆さんこんにちは。はてなくまです。

新型コロナウイルスの蔓延により、緊急事態宣言が4月7日に発出され、1ヶ月が経ちました。生活の様々な活動について自粛をされている方、またこのような状況下でも通常通りの業務を余儀なくされている方、様々だと思います。

本記事では日本国民が1ヶ月間送ってきた自粛生活が、果たしてコロナウイルスの拡大阻止に効果を上げているのか考えてみました。自粛するにするしろ、通常通りの生活を送らなければならないにしろ、みんなの努力がしっかりと形になっているということを確かめたい、との思いで今回の記事を書いています。

結論を先に言うと、皆さんの自粛生活は大きな成果となって現れています!

この記事では緊急事態宣言以降の新型コロナウイルス累積感染者数の推移を対数グラフを用いて分析してみました。その結果、緊急事態宣言以降、2週間程度経ってから、明らかに感染者数の増加スピードが落ちてきていることがわかりました。PCR検査の陽性率も低下しており、皆さんの努力がしっかり形になりっているということがわかりました。

これまでの日本における新型コロナウイルス感染者数の推移

厚生労働省が毎日発表している新型コロナウイルス感染者数のうち5月8日までのデータをグラフにしてみました。

これのグラフを見ると3月下旬から4月上旬にかけて、爆発的なスピードで感染が拡大していることがわかります。この急激な感染者数の拡大を受けて日本政府は4月7日に緊急事態宣言を発出しました。

ちょうど1ヶ月前に書いた記事では、緊急事態宣言前後の感染者数増加スピードを対数グラフで分析し、4月17日には感染者数1万人、5月12日には10万人突破という予想をしました。

感染者数が1万人を超えたのは4月19日で予想に近かったのですが、幸いにも5月12日に10万人ということにはならなそうです。PCR検査の結果には時間的なズレがあり、約2週間前の感染者数を示しているということを念頭に置くと、緊急事態宣言後2週間経って感染者数の増加が緩やかになっているようにも見えます。

しかし、依然として国内における感染者は増え続けており、果たして我々が自粛している意味があったのかどうか、いまいち実感できません。そこで今回も対数グラふを使って感染者の増加速度を調べてみました。

対数グラフを用いて感染者数の増加スピードを調べる

4月1日以降の感染者数の推移を対数グラフ上に表示してみました。対数グラフは縦軸のメモリが1、10、100、1000… と10倍ずつ増えていくのが特徴で、対数グラフ上では指数関数的に変化する量が直線として表されます。

感染症における爆発的感染(いわゆるオーバーシュート)が起こった場合は、感染者数がまさに指数関数的に増え続けるので、感染者数の推移は対数グラフ上では傾きの大きな直線となって現れます。

さて、では実際にグラフを見てみましょう。

感染者数の増加スピードが最も早かった4月上旬までの傾きを調べると、倍加時間(感染者数が2倍になるまでの時間)は約7.3日という結果になってます。これは1週間で感染者数が2倍になるため、1ヶ月で16倍、2ヶ月で256倍になるという驚異的な数値です。実際、イタリアやアメリカなどではこのような急激な感染拡大が発生しました。

ところが日本では緊急事態前言の発出後2週間が経過したあたりから、明らかに感染者数の増加速度が鈍化していることがわかります、5月6日から8日までのデータを用いて倍加時間を求めてみると約112日となりました。直近の感染者数の増加速度であれば、2倍になるまでには4ヶ月程度も猶予があるということです。

緊急事態宣言から2週間程度で感染者数増加スピードが鈍化しているため、私たちの活動自粛による効果がでていると考えて良さそうです。このままの増加速度を維持できれば、医療崩壊も防ぐことができ新型コロナウイルスによる感染爆発を阻止できる可能性が高いと思います。

PCR検査の陽性率の推移

新型コロナウイルスの蔓延が抑制されているという別のデータもあります。先ほどのグラフに示した赤い折れ線グラフは陽性率(PCR検査での陽性者数/PCR検査総数×100)を表しています。

陽性率も緊急事態宣言後およお2週間で減少に転じていることがわかります。仮に新規の感染者数がそれほど増加していなかったとしても、この陽性率が高止まりしている場合は、潜在的な感染者(感染しているけど発見できていない人)が多数いると考えられるため、状況は深刻になります。

しかし、陽性率の減少はこれを否定することができる好材料です。感染者数の増加スピードの鈍化と陽性率の減少より、我々の自粛活動によりコロナウイルスの驚異を確実に減らすことができていると言えそうです。

まとめ

厚生労働省が発表している新型コロナウイルス感染者数の推移を対数グラフで分析しました。その結果、感染者数の増加が最も早かった4月上旬の倍加時間(約7.3日)がら5月上旬の倍加時間(約112日)は大きく改善されていることがわかりました。

また、PCR検査における陽性率も減少に転じており、私たちの活動自粛により新型コロナウイルスによる驚異を確実に抑え込むことができていることがわかりました。頑張れ日本!すごいぞ日本!

ここから大切になるのは、このペースの感染者増加スピードに抑え込みつつ、いかに経済活動を再開させるかだと思います。当然、自粛を突然解除して元の状態に戻してしまえば、そこから一気に感染爆発につながる可能性もあります。

ノーベル賞受賞者の山中先生も指摘されていますが、新型コロナウイルスの影響を完全に消し去ることはできません。有効な治療法やワクチンが開発されるまでは、このウイルスとの共生状態を続けていくしかないようです。

医療施設に余力が生まれるようになれば、現在の活動制限を徐々に解除していき、経済崩壊を起こさないように生活を再開し、ワクチンや治療法の開発を待つことができます。新型コロナウイルスとの戦いはまだまだ続く長期戦になりますが、私たちの活動自粛の効果は大きな成果を上げてます。現在の私たちの行動が正しいと信じて、今後も持続可能な努力を引き続き模索していきましょう。

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