【図解】なぜ空は青いのか? ~透明な大気が空を青く染める理由~

「どんな色~が好き♪ 空色~!」

日本では青と白を混ぜたクレヨンや絵の具は、「水色」と呼ばれることが圧倒的に多いですが、これは日本が水に囲まれた国で、日本語には水に関する豊かな表現がたくさんあるからではないでしょうか。

一方で、英語では水色に対応する「Water blue」はほとんど使われず、逆に空色を意味する「Sky blue」が一般的なのだとか。

いきなり話が大きく脱線して恐縮ですが、今回の記事ではなぜ空は青いのか、ということについて図解していきたいと思います。

晴れた日に空を見上げると、そこには当たり前のように青空が広がっています。しかし、実はこれはとっても不思議で奇跡的なことなのです。

それでは、生命あふれる地球ならではの青い空の秘密に迫ってみましょう!

そもそも物が見えるとはどういうこと?

まず、私たちの目に見える、ということはそもそもどういうことかをおさらいしてみましょう。

物を見るためには光が必要です。光は電磁波という波の性質を持っており、波のエネルギーによって波長が異なります。一般的にエネルギーの大きな光はより短い波長をもっており、エネルギーの小さな光は長い波長をもっています。また、強力な重力場でもない限り、光はまっすぐ進むという性質があります。

そして、私たちの目は光を感知することのできる感覚器官です。光が目に入ると、光の像から物体の形を、光の波長から色を認識します。目に見える光(可視光)の波長範囲は、一般に \(380 \; \mathrm{nm}\) から \(780 \; \mathrm{nm}\) といわれており、この範囲の中で波長の短い光は青、中くらいの光は緑に、そして波長の長い光は赤として私たちの目に映るのです。

また、光の直進性は次のように理解できます。もし今、あなたがスマートフォンの画面を見ているのなら、その画面に敷き詰められている発光素子が発した光がまっすぐあなたの目に入ることで、あなたはスマホの画面を見ることができています。

一方、スマホの画面を人差し指でスワイプしているのであれば、人差し指が光っているわけではないので、スマホの画面、あるいは室内の照明や太陽光などが指にあたって、指から散乱してきた光が目に入っていることであなたは指を見ることができています。

光の直進性を考えた時の空の色

この光の直進性と目でものを見ることのメカニズムを考えると、空が青いのはとても不思議なことです。太陽からでた光はまっすぐ地球に届き、私たちは太陽を見ることはできます。でも、直接光っているわけでもなく、なにも物体がない空から、なぜ私たちの目に光が飛び込んでくるのでしょうか?

下の写真を見てください。この写真はJAXAとNHKが協力して撮影した月から見た地球の映像です(映像コンテンツはこちら)。満月ならぬ、満地球が月から大変美しく見えている様子が映っていますね。

月周回衛星「かぐや(SELENE)」が高度約100kmの月周回軌道から撮影した「満地球の出」。月面の向こうに青く輝く地球が昇って見える一方、月には大気がほとんどないため、空は昼間でも真っ暗に見えます。(JAXAプレスリリースより、https://www.jaxa.jp/press/2008/04/20080411_kaguya_j.html)

でも今注目していただきたいのは地球ではなく、月の空の色です。何色ですか? そう、真っ黒ですよね。画像の月面には太陽光が当たっているため、昼間であることはわかりますが、空は漆黒の暗闇です。

光の直進性を考えると、本来は地球の空も月と同じように真っ暗になるはずなのです。でも実際には青空が私たちの上には広がっています。なぜ、地球と月で空の色が違うのでしょうか。地球の空にはあって、月の空にはない何かが、太陽の光を私たちの目に届けていると考えるしかなさそうです。

では、いったい何が太陽光の向きを変えているのでしょうか。そう、その正体こそが地球を包んでいる大気なのです。

大気による光の散乱

私たちは普段、空気を透明なものとして認識していますが、そこには無数の窒素や酸素、二酸化炭素などの分子が存在しています。太陽からやってきた光が大気の中を通過すると、その一部は空気中の分子にぶつかり、さまざまな方向に散乱します。その結果、空で散乱された光が私たちの目に映り、空には色がついているように見えるのです。

一方、月には大気がほとんど存在しないため、太陽光はそのまま宇宙空間を通り抜けていきます。ですので、いくら空を見上げても私たちの目に太陽光が入ってくることはありません。月の空に浮かんで見えるのは直接光を放っている太陽と、その光を反射している地球だけ、ということになります。

晴れた日の昼間に青空が広がる理由

それでは次に、なぜ晴れた昼間の空が赤でもなく、黄色でもなく、青く見えるのかということについて考えてみたいと思います。

プリズムに太陽光を通すと虹色に分かれることからも分かるように、太陽光にはさまざまな色の光が含まれています。前述の通り、太陽光には \(380 \; \mathrm{nm}\) から \(780 \; \mathrm{nm}\) の波長をもつ可視光がもれなく含まれています。

一方で、大気中には無数の酸素や窒素の分子が存在し、それらの大きさは光の波長と比較して途方もない小ささです。例えば空気中を漂っている酸素分子の大きさは、およそ \(0.34 \; \mathrm{nm}\) であり、可視光領域の光の波長よりも1000倍以上小さい粒子です。

このような光の波長よりも十分に小さな粒子によって光が散乱される場合、散乱の強さが光の波長の4乗に反比例するという理論をイギリスの物理学者、レイリーが提唱しました。この散乱をレイリー散乱と呼びます。レイリー散乱の強さは、光の波長を \(\lambda\) とすると次の式で表されます。

$$ I \propto \frac{1}{\lambda^4} $$

この式は、波長が短い光ほど強く散乱されることを意味しています。つまり、太陽光が大気を通過すると、波長の短い青色や紫色の光はさまざまな方向へ散乱されやすく、波長の長い赤色の光は比較的まっすぐ進み続けるのです。その結果、空のあらゆる方向から青色の光が私たちの目に届き、空全体が青く輝いて見えるのです。

夕焼けが赤く見える理由

レイリー散乱によって太陽光が大気中で散乱されるメカニズムがわかると、なぜ夕焼けが赤く見えるかについてもよく理解できます。

夕焼けが見える夕方は、太陽は地平線や水平線の近くに見えます。この時、観測者のところまで太陽の光は長距離にわたって大気の中を通過してきます。

ですので、太陽光から出た波長の短い青い光は強いレイリー散乱を受けるため、どんどん減衰してしまいます。一方、波長の長い赤い光は散乱をあまり受けないので、観測者の見ている空まで届きます。そして、青い光と同様に大気によるレイリー散乱を受けた結果、観測者の目に入るのです。

まとめ

いかがでしたか。私たちの頭上に広がる青い空は、地球ならではの奇跡的な光景だったということがお分かりいただけましたでしょうか?

本来、光はまっすぐ進むため、大気のない月では空は真っ黒に見えます。しかし地球には大気が存在し、空気中の分子が太陽光の向きを変えています。

青い光は波長が短く、レイリー散乱によって強く散乱されるため、光が大気中を進む距離が短い昼間の空は青く見えます。

一方、光が大気中を長距離通過する夕焼けの景色では、青い光がレイリー散乱によって減衰してしまい、赤い光がのこるため空が赤く染まって見えます。

私たちが毎日見上げている青空は、地球を包む大気が作り出した神秘的な光のショーだったのです。明日からあなたも空を見上げてつぶやきましょう。アイ・ラブ・地球!

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